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海盗り−下北半島・浜関根−

漁民から海を奪うその手口、原子力半島への道

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青林舎
1984
1時間43分

製作:青林舎
監督:土本典昭
企画:松橋勇蔵(海の会)
製作:山上徹二郎
撮影:清水良雄
サウンド:高橋悠治

  • 1984年度(第15回)ベルリン映画祭インターナショナル・フォーラム・オブ・ヤングシネマ出品

漁民の攻防の記録

 横なぐりのヤマセふぶく下北半島の小さな漁村、浜関根。1981年、ここに原子力船「むつ」の新母港を建設するという話がにわかに降ってわいた。この映画は浜関根の漁業権をめぐる攻防を漁民の側から見た記録である。

“流れもの”だったから

 ひとり芝居で母の一代記を演じるひとりの役者がいる。その役者の本名は松橋勇蔵。彼の実家は奇しくも村最大の網元、兄弟のひとりは専業漁民のリーダー・漁協の理事であった。松橋兄弟とその一族は、漁協組合長を先頭とする母港賛成の多数派理事と対立していた。それは松橋一族が網元ではあっても八戸からの“流れもの”だったことも一役買っていた。

「海盗リ」の手口

 映画は科学技術庁、原子力船事業団、青森県、県漁連、むつ市の「海盗リ」の手口を克明に描く。まずは補償金のつりあげ。次に漁民の分裂を利用した切り崩し工作が展開される。1回めの漁業権売渡しの臨時総会は流会となったが、2回めの臨時総会では4票差で反対派は敗北し、工事は着工へ動く。その過程は浜関根や津軽海峡に面する漁村の暮らしや漁民への聞きとりを交えて語られる。
 この映画の後半では下北半島の全体像に迫っている。平日では空撮できない三沢、六ヶ所、泊射撃場、大湊海上自衛隊。原発20基分の用地が水田のうねを残したまま荒れ果てた東通村白糠。低レベル廃棄物貯蔵地が計画される六ヶ所村の鷹架沼、尾駮沼…。土本監督は漁民や関係者から聞き取りを重ねる。

判コさえ押さねば・・・

 プルトニウム半島化する下北半島での漁民の「海盗リ」に対する死闘は点でしかなかったが、「判コさえ押さねばいい。この海は天皇陛下でもどうにもならん」と哄笑する漁民もまだ健在だった。