上の絵では、はるが老人たちと、ちいと同じ舟に乗って、向こうに見える島に向かっています。船頭役の一人が正面に立ち、他の人はみんな静かにたたずんでいます。しかし船頭役にはあまり特徴がありません。この集団には特別な存在はなく、この移動も日常的に繰り返される生活の一部なのでしょう。はるもすでにその雰囲気に溶け込んでいます。 それは、このシーンでイメージしたのが「祈り」だからで、祈りには宗教、風習の差を越えて犯しがたい雰囲気があるものです。 海の向こうの幻の島に、死んだ人が舟で渡って行く、といういわれが海辺の土地で聞かれると思います。この絵ではそんな象徴的な「島」と「舟」を描いています。
下の絵は、ちいが海に入っているところです。脚本の中で、ちいが海を避けているようなイメージがありました。また、ちいの身体というのは、実在しているのか、幻なのか、良く分らない存在です。 そんな彼女が水に入るとどうなるのか?水との交わりは直接的な皮膚感覚を想起させ、そこで彼女に何らかの変化が起きるのでは、と思いました。 またこのシーンには、初めてちいが意志を持って動いたという重要性があります。
