新せっけん物語

新せっけん物語
洗剤の問題から、私たちの暮らしを洗う

1982
54分

製作:青林舎
監督:若月 治
製作:米田 正篤
撮影:清水 良雄
録音:久保田 幸雄
音楽:横田 年昭

  • 協同組合石けん運動連絡会協賛

汚染防止を願う人々

使い捨てにしていた食用油を回収して粉せっけんを作り広めながら、合成洗剤を追放している主婦やグループが全国各地にいる。家庭排水による河川湖沼の汚染を防ごうとの願いをせっけんに託す人びとを、この映画は追っている。

せっけん作り

「油に苛性ソーダを入れたらなんでこんなになるのか、いまだにようわからんです」といいながらも1人で食用廃油を回収し粉せっけんを作る松山市の主婦。琵琶湖周辺の6万世帯から食用廃油を回収して、2日がかりでせっけんを作るグループ。休みや夜勤あけの人も協力して汗を流して作る光景に圧倒される。トラックで団地に運んで来た合成洗剤の安売りの店の向かいで、ゴザ1枚の店を出して粉せっけんを売る藤沢市の主婦。ゴザの上で子供を遊ばせ、時には「商売仇」のおじさんとおしゃべりをして売っている。
カメラはまた、水がどんなに汚れているかを露わにする。水中や空中、顕微鏡の映像は汚染の実態を迫う。東京の多摩川に放流される稚アユは、大半が死んでしまう。「稚アユは汚い川に放すのはやめてくれといっている」と漁師は語る。

確かな歩み

水を汚すのは誰だろう。合成洗剤や食用廃油を家庭からたれ流しているのは誰だろう。自らの生活の仕方を問い直し変えていくことが必要ではないのか、と映画は語りかけてくる。
同時に、せっけんを作ることで「洗うということは水が主でせっけんが従」「合成洗剤より粉せっけんのほうがよく落ちる」ことを発見したり、工場を障害者団体と協力して作ったりとその歩みが確かであることも紹介されている。