
いま、語る。明日を、見る。
2005
103分
監督:熊谷 博子
撮影:大津 幸四郎
協力:三池炭鉱に生きた人々
企画:大牟田市、大牟田市石炭産業科学館
- 2006年度 日本ジャーナリスト会議特別賞
- 2006年度 日本映画復興賞奨励賞
三池との出会い
三池炭鉱が閉山して1年半後、地元、大牟田市が「歴史を活かしたまちづくり」というシンポジウムを主催しました。その席上、前作『ふれあうまち』で 住民による新しい“まち育て”を描いた監督が発言しました。「まちの再生は、炭鉱と炭鉱に生きた人々の声に耳を傾け、事実を伝えていくことだ。」と。
歴史を記録する
同じ思いを抱いた市の職員がいました。まず、予算を獲得するだけで3年。こうして2001年から、三池炭鉱を映像で記録し保存する「こえの博物館」プロジェクトが始まりました。2年がかりで72人の方々の証言に耳をかたむけ、110時間分の撮影をしました。
始めた頃は、三池争議から40年もたつのに、まちが二分されたしこりが強く残っていました。そして坑内事故の被害者たちは、長引く病気を抱えひっそりと生きていました。多くの人々が、もう炭鉱のことなど世間から忘れ去られているのでは、という不安の中で、体験と思いを語ってくれました。
映画の完成
インタビューした6人の方がすでに亡くなり、壊された建物もあります。
話したこと、作品づくりにかかわったことで、人々の気持ちが変わっていきました。
かかわった人々に共通の思いが交差し、響きあい、石炭が燃え上がるようにして、映画が出来上がりました。こうして作った20分、40分、90分の3種類の作品が、それぞれに、様々なコンクールで受賞しています。今回の作品は、それをさらに2年かけ練り直した集大成です。